二月十五日(土)
昼間、猫さんと二人きりだった。猫さんにウェット療法食を出して、私も買ってきた昼ご飯を食卓に広げた。猫さんは不思議な事に、家族と食事のタイミングを合わせてくれる。勿論、家族が食事をしていない時でも食べるのだが、一番よく食べるのが家族揃って食卓を囲んでいる時なのだ。
それなのに、私が食事を始めても、猫さんは療法食に臭いを嗅ぐだけで全く食べようとはしなかった。私はチキンフィレサンドを齧りながらじっと観察していたが、全く食べない。昨日からあまり食べていなくてお腹が空いているはずなのに、どうしよう。
私は、口に食べ物を詰め込んだまま、泣いた。直感的に「この子は死ぬ、遠くない先に」と思ったのだ。一度泣きだしたら涙が止まらなくなった。
「食べてくれよお」
涙交じりに訴えたが、猫さんは「食べられないの」といわんばかりの寂しげな目を向けるだけだった。猫さんの事で泣いたのはこの日が初めてだった。こんなに何も食べずにいたことなど、これまでの彼女の人生、いや猫生では無かったのだ。
猫は飢餓に弱い。この食欲不振が数日も続けば致命的だ。でも、それに対してどう対処したらいいのかさっぱりわからなかった。自分の無力さと絶望感がひたすら泣く事だけを強いていた。
私は、急いでインターネットで検索した。昨日食べた療法食がもう食べなくなっている。他に種類はないのか?
すると、多くの猫が好んで食べる「ちゅーる」というスティック状のおやつに腎臓療法食バージョンがあることが判明した。本来は病院で買えないと聞いていた療法食がネットで買える。市販のちゅーるより値段は倍くらいするが仕方がない。食べてくれよと念じつつ、購入のボタンを押した。
この日の推定摂取カロリーは90キロカロリー。
二月十六日(日)
夜、待望の療法食ちゅーるが届いた。食いつきは悪いが、多少は食べてくれる。飲水量が非常に少ない。
この日の摂取カロリーは140キロカロリー。
次回更新は4月5日(日)、11時の予定です。
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