【前回記事を読む】「食べてくれよお」…泣いて訴えても「食べられないの」と寂しい目をさせるだけ。直感で分かったのは、この子の死期が近いということ

悲しみの底で見つけたもの~猫さんが生きた八十九日間の記録

二月十七日(月)

妻がネットで調べてくれた方法を試す事にした。

カリカリご飯をコーヒーミルで砕いて水に溶かして、シリンジで与えるというものだ。仕事の後、閉店間際のイオンの家電コーナーでコーヒーミルを買う。

焦っているので値段などは見ないで買う。普段は値段と付帯ポイントを店ごとに比較検討するのだが、時間が無いから構っていられない。

早速、病院で貰ったサンプルのカリカリ療法食で作ってみる。少しは飲んでくれるが、やはり食欲が無い。療法食ちゅーる(エネルギーが高いので、略してエネチューと呼ぶことにした)の方がまだ食いつきが良い。この日、そのちゅーるを三度食べさせた。

この日のカロリーは40キロカロリー程度。

二月十八日(火)

前日のコーヒーミル作戦が失敗したので、今度はヨドバシカメラでミキサーを買った。ウェットの療法食を更に軟らかくして、シリンジで与えようと考えた。こちらの方が食べやすいはず。これと療法食ちゅーると合わせて60キロカロリーは摂れたが、飲水は不良。なのに、おしっこはしっかりと出る。腎不全の多尿期であろうか?

二月十九日(水)

再診は二月の下旬だったが、もう我慢の限界だった。食べないし飲水が悪すぎる。このままだと本当に死んでしまう。

猫に必要なカロリーの式は、70×体重の四分の三乗に活動量に応じた係数を掛けた数値だ。猫さんの体重は4.7kgで、そこに肥満の子の係数1を当てはめると必要カロリーは223キロカロリーだ。

この数値はおろか、主治医が別の計算式で示した減量用カロリーである191キロカロリーでさえ遥かに下回る。それに飲水量も230mlは必要なのに、70ml程しか飲めていない。あまりにも少なすぎる。

私の仕事は午後からだったので、午前中に動物病院を受診する。先生も、猫さんが脱水の危険に晒されていると判断して、点滴を入れてくれた。120ml。助かった。

人間は食べられなくても点滴である程度生き延びる。猫もきっとそうだろう。なるべく毎日点滴に来て下さいと言われる。どうやら腎不全の多尿期らしく、水分を多く体内に入れないと、脱水を起こすらしい。飲水を促してもなかなか飲まなかったから点滴してもらえるのはありがたい。

点滴の他に、膀胱炎に対して抗生剤を注射してもらう。セフェム系の殺菌型抗生剤だ。長時間作用型なのでワンショットで二週間効果が持続するらしい。

食欲不振や血尿が尿路感染によるものだったとしたらきっと治るはず。もっと早く注射してくれれば、こんなに悩まなかったのにと思ったが、きっと人間と猫の尿路感染症の治療法は異なるのだろう。先生も迷っているように見えた。