【前回記事を読む】愛猫が薬の副作用で発赤と水疱を発症…だが、薬をやめることはできなかった。この薬がなければ、この子の命は…

悲しみの底で見つけたもの~猫さんが生きた八十九日間の記録

三月八日(土)

「猫さんはスピリチュアルで、あなたの事をとても心配していますよ」

昔占い師に言われた言葉が頭に渦巻いている。これまで思い当たる節はあった。猫さんと家族になってから、人生が劇的に変化しているのだ。仕事でも私生活でも。

仕事はフリーランスとして働いていたが、猫さんが来てから、業務量が激減し、猫さんと一緒にいる時間が増えた。なのに収入は減っていない。

私生活では、猫さんをきっかけに結婚が決まり、その後子どもも授かった。ライフワークとしている執筆活動も猫さんがいなければ行っていなかっただろう。

そして、この一か月の多数の受賞。これも猫さんの力としか思えなかった。決して謙遜して述べているのではない。

中には「応募者が少なく、それを担当者が放置していたため、全員受賞とします」というコンテスト主催者のお詫びの手紙が来たのもこの時期なのだから。

そんな猫さんの元に急いで帰る。彼女は何も知らない顔をしていた。この日の食事は230キロカロリー、水分は、飲水150mlに点滴120mlの合計270ml。嘔吐は一回だった。

三月九日(日)

深夜に下痢。ここ数日調子が良かっただけに希望が打ち砕かれたようだった。しかも、朝までに三回、そこへ嘔吐までしている。この抗生剤も使えないのか? 一緒に処方された整腸剤も防波堤にならなかったのか? 半日前までの幸せな気分が吹き飛んでしまった。

しかも、悪い知らせは続くもので、三月十日の受診予定だった二次病院の医師から電話が来たのだ。

「外注の検査結果がまだ出ていないので、受診日を延期して欲しい」

そう言われた。体調を崩して、少しでも助けの欲しいときに延期だと? しかもそっちの都合で? 怒りが込み上げてきたが、検査結果が出ていないと知らされれば仕方がない。抗生剤について相談すると

「もう五日間は抗生剤を投与している事になるので、感染症であれば効いているでしょう。これで中止して下さい」

という話だった。

人間だったら抗生剤は「使い切り」が原則だ。でないと耐性菌が出て感染症がぶり返す。獣医学の世界では違うのか? 不信感を抱きながらも、他に方策は思い浮かばないので、先生の指示に従うしかなかった。

カリカリご飯を食べてくれない。飲水とちゅーるのみで猫さんは頑張っていた。食欲は結局本能に任せるしかないのか?

「食べられないのには理由がある」これは彼女の闘病生活で得た私の学びだった。

この日の栄養は70キロカロリーと激減。水分は飲水260mlにかかりつけ医の点滴120mlの合計380ml。体重は4・58kgへと落ちた。