【前回の記事を読む】体中をガンに冒されていた。カリフォルニアへ引っ越せば、夏の夕陽が体を癒してくれるはず。だが病魔は確実に私を蝕み…
第1章 自分が翳む風
正しいと思った
少しだけ感じ始めた自分の大切さを
半歩前に出そうとしても
貴方に縋(すが)っていた心が しがらみになり
足が重たい
この重たさは
その時の自分に価値を見出せず
その時の自分が 正しさに似た想いで
引き寄せた 今は過ち
正しさらしさは 過ちに仮面を変え
正しいと感じた拠り所は 仮面の住処(すみか)
正しさらしさは弱く 切なく
その弱さで自分を責め
正しいと思い込みたくて苦しみ
揺れる心で憂鬱になり
正しさらしさは 涙ばかりを誘う
正しいと思うことで 心を軽くし
正しいと思うことで 自分を大切にしているかのように
感じていた……今までの貴方との日々
正しさの内側には 唯一のただ 唯(ただ)と 無料の只(ただ)があるらしい――
自分の体と心を もう只(ただ)にはしまい
正しさへの思いが どこから来るのかは分からないけど
唯一の唯(ただ)しさを 今は自分に探してみよう
自分に正しくあることは 今の切なさに向き合うこと……
思い込みの正しさらしかった日々に費やした 虚しさとも向き合い
無駄に流れた今までの正しさらしかった日々を 明日からは変えよう――
アパートのドアを しっかりと閉じ――