沙優はニッコリ微笑んで俺を見つめた。その笑顔に対して自分の行動を黙っていることは出来なかった。俺は沙優に朝帰りの件を話し始めた。

「沙優、俺が朝帰りした日、華菜と付き合う前に付き合っていた女と一緒だった」

華菜さんの前の彼女って、本気で一人だけ愛した人のこと?

「三年ぶりに会社に訪ねて来て、相談があると……」

急に相談?

「お酒に付き合って欲しいと誘われてバーに行った」

相談するのにお酒飲むの?

「人に聞かれたくないからとホテルに行った」

えっ、二人でホテル?

「この時点で俺アウトだよな。そんなに飲んでいなかったが、元々酒に弱い俺はあっという間に酔いが回って、よく覚えていない」

ずっと黙ったまま俺の話を聞いていた沙優が口を開いた。

「どうして相談に乗るのにお酒を飲むことになったんですか」

「瑠美が、いや、彼女がお酒に付き合って欲しいって言うから……」

瑠美、貢さんの愛する人は瑠美っていうんだ。

「どうして二人でホテルへ行ったんですか、何もなかったって証明出来ないですよね」

「そうだな、酔いが回っていてよく覚えていないんだ」

「相談ごとは覚えていますか」

「覚えている」

沙優はそのあと黙ったまま、しばらく沈黙が続いた。

「沙優、俺……」

「もう、分かりました」

「いや、まだ続きが……」

「貢さんは相談に乗ってあげただけですよね」

沙優はそう言って俺に背を向けた。

「そうじゃないんだ」

「もう大丈夫です、それ以上はもう……」

次回更新は3月19日(木)、22時の予定です。

 

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