【前回の記事を読む】「そのお腹の子はそいつとの子供なのか」5年前に亡くなった婚約者のお墓参りに行ったら、夫は怒鳴って…

第九章 愛されていない私

俺はあれ以来瑠美とは会っていない。もちろん連絡もない。連絡といえば華菜から呼び出された。

「久しぶり。貢、ちょっと話あるんだけど……」

「なんだよ、俺忙しいんだが……」

「浮気したんだって」

「なんだよ、急に」

俺は戸惑いを隠せなかった。

「沙優さんから相談受けたの、貢が浮気したから別れたいって」

「えっ、嘘だろ」

「嘘。でも相談受けたのは本当よ。沙優さん、相当落ち込んでたけど、誰と浮気したの」

「浮気なんかしねえよ、ただ」

「ただ、何」

俺は華菜に真実を話すべきか迷っていた。このまま墓場まで持っていくか。沙優が悩んでいるのは確かだ。ずっと黙ったままなんていいわけないよな。俺は決心して華菜に話し始めた。

「お前と付き合う前に付き合っていた瑠美と一緒だった。急に会社に来て、相談に乗って欲しいと頼まれて、バーに行って酒飲んで、誰にも聞かれたくないからとホテルに行った」

「信じられない、なんでホテルなんか行ったの。寝たの?」

「何もしてねえよ、と思う」

「どういうこと?」

華菜は今にも噛みつきそうな表情で俺を睨んだ。

「酒飲んでたから気がついたら朝で、ベッドで瑠美を抱きしめた格好で目が覚めた」

華菜は頭を抱えて大きなため息をついた。

「貢がお酒弱いのを知ってて、飲まされて、罠に嵌(はま)ったのよ」

「罠に嵌った?」

「いい、今更急に現れて、相談に乗って欲しいなんて、しかもバーに行って、ホテルに行くなんて、なんでおかしいって思わなかったの」

「そうポンポン言うなよ。俺だって分かってる」

「分かってるならなんでホテル行ったの。本人も覚えてなくて、誰も貢の無実を証明してくれる人がいないのよ」

華菜の言う通りだと自分を責めた。