「もしかしてまだ瑠美って女が好きなの?」
華菜に言われてハッと気づいた。あの時瑠美を放っておくことが出来なかったのは事実だ。でも、俺は沙優を愛している。当時瑠美に惹かれた控えめな、捨てられた子犬のような部分が沙優にあったからなのか。
瑠美と別れたのは自分の意思を貫こうとした強い部分が見え隠れして、放っておいても大丈夫と思えたからだ。でもこの間の瑠美は放っておくことが出来ないくらいに弱っており、俺を頼ってきた。当時の瑠美への気持ちが俺の中に蘇ってきたのかもしれない。
それなら、沙優に対してはどうなんだ。沙優は母親の自覚が芽生え、少しずつ強くなっている。俺が最近仕事を優先するようになったのも、心配で放っておけないとの思いが減ってきていたのかもしれないとこの時気づいた。
「よく分からない」
「じゃあ、沙優さんと別れなさい」
「そんなこと出来るか」
「だって沙優さんは愛していないんでしょ」
「そんなことない、沙優は愛して……」
「ねえ、貢、自分の気持ちを確かめることね。愛して貰っていないことが女にとってどれほど不安なことか、よく考えることね」
俺は華菜に懇々とお説教を食らった。この時分かった、華菜は強い女だ、俺がいなくても生きていける、だから俺じゃなくてもいいんだと思い、愛することが出来なかったのかもしれない。
それから華菜と別れ、沙優がいるマンションに帰った。
「お帰りなさい」
「ただいま」
「お食事は済まされましたか」
「いや、済ませていない、簡単な物で構わないからよろしく頼む」
「はい」
俺は食事をしながら、真向かいに座っている沙優の様子を窺っていた。
「あのう、圭人のお墓参りのことなんですが、これからは行かないようにします。気分を害することをしてしまってすみませんでした」
「いや、俺の方こそ大人気ない態度を取ってしまいすまなかった」
「貢さん、ヤキモチ妬いてくれたんですよね、嬉しいです」