【前回の記事を読む】仕事から戻ると妻がいなくなっていた。俺と若いモデルとの不倫記事を見てしまったんだろう。家を出た妻を血眼になって探したが…
第七章 妊娠
俺は反省した。相手の気持ちのまま進んでいく恋愛、自分の気持ちは全くなかったのが俺の今までの恋愛だった。俺が会いたいんじゃない、相手が会いたければ会う、
予定以外の行動は取らないのが俺流だった。抱きしめたい、キスしたいなど、俺の中には全くなかった。それほど気持ちが昂る恋愛は経験がない、ただ一人を除いては……
沙優に対して久しぶりの感覚に戸惑った。
しかも、沙優は自分の気持ちで行動する女ではない。いつも俺のことを考えて行動する。我慢したり、悲しんだりという気持ちを俺に対して持ってくれていたなど、知る由もなかった。
「沙優と話がしたい、会わせてくれ」
俺は華菜に頭を下げた。
「貢が私に頭を下げるなんて、沙優さんは貢にとって久しぶりの本気なのね」
俺は華菜に言われて、沙優に対する気持ちに確実なものを感じた。それから華菜と共に、沙優の待つマンションへ向かった。
「沙優」
「貢さん」
沙優はその場を離れようと俺の傍をすり抜けようとした。俺は沙優の手を掴み、抱き寄せた。
「貢さん」
「沙優、一緒に帰ろう、週刊誌の記事は嘘だ」
「でも、私じゃ無理です。モデルの女性の方を好きになるに決まっています」
「だから、何にもないって。沙優だけだよ、愛しているのは……」
その時、華菜が呆れた顔をして口を挟んだ。
「ちょっと、二人の世界にいるところ悪いけど、自分のマンションでやってよ。それから、沙優さん、あなたは貢の奥さんなんだから、浮気したら許さないわよくらい言わないと、それに母親になるんだから、子供のために強くならなくちゃ」