「華菜さんは強いんですね」
俺は沙優の手を引き寄せ、「帰るぞ」と沙優を連れ出した。
「華菜、ありがとう、助かったよ」
「沙優さんを離しちゃ駄目よ」
「ああ、肝に銘じるよ」
俺と沙優はマンションに戻った。
「沙優、週刊誌の記事は嘘だから、俺を信じろ」
「貢さん、私、付いて行っていいんですか」
「当たり前だろ、俺が沙優と子供を守るから、俺に付いてきてくれ」
沙優は頷いた。
それから、沙優が安定期に入ったのを確認して、妊娠の報告をメディアに向けて発表した。
「モデルとの不倫はどうなりましたか」
「あの記事は嘘なので、これから訴訟を起こします」
「奥様は納得しておられますか」
「ご心配には及びません」
記者からの質問責めにうんざりした。
それから沙優と俺は穏やかな日々を過ごした。
「沙優、覚えているか。お前がこのマンションの前で倒れていたのを、介抱したのがきっかけだったな」
「はい、助かりました、貢さんは命の恩人です」
「それを言うなら、俺の方こそ、沙優にお礼を言わなくてはいけない」
沙優は不思議そうな表情を見せた。
「沙優に出会って、本当の愛を知った、こんなに抱きしめたいと思ったのは初めてだ」
俺は沙優を抱きしめた。
「朝までこうしていたい、愛している、沙優」
「私も貢さんを愛しています」
「これから三人で幸せになろう」
「三人、あっ、赤ちゃんですね」
「そうだ、沙優と子供を守って行くぞ」
沙優は大きく頷いた。
私は順調に八ヶ月目を迎えた。貢さんは仕事が忙しく、マンションに帰るのは午前零時を過ぎていた。私はベッドで寝ていた。朝も貢さんの方が早く起きて会社へ行くといったすれ違いの生活を送っていた。