【前回記事を読む】「光の仲間とともにこの星の未来を変えるのだ」——私は不思議な夢を見た。目の前に現れたのは5m程の光の珠で…
第一部 生命の旅
第一章 生命の火が消えるまであと百八日
美咲の章(一) 宿命の邂逅
英良は狐に促されるように上がっていくと扉が自然と開いた。
室の中には一人の若い女性がダンスを踊っている。その女性は背は百六十五センチほどでスタイルは良く、髪は肩まであり色はやや茶色がかり毛先はすこしウェーブがかかっている。眼は大きく瞳が黒い色白の美人だった。
ワンピースのスカートが太腿に張り付き腰から下の下半身のラインがはっきり見える。大腿筋が発達していて太く長い足が印象的だ。
一連の動作を終えその女性は物憂げにしゃがみ込み視線を下へ向けた。英良には気が付かない。もっともここは英良の夢の中であり英良の見たままの場面でしかありえない。
英良は女性を見た時、どこかで会ったような気がした。混沌として幾重にも重なりあい探そうとしてもどこを探したらいいのか分からない。
それは過去の記憶というのか既視感(デジャヴ)のように感じた。
その人はVネックの白いハイウエストワンピースを着ていて突然立ち上がり、何かにとり憑かれたように舞い始めた。英良には踊っているというより舞っているように映る。
腕がしなやかに円を描くように揺れ、表情は柔らかく視線は正面を向いた後に斜め下へ俯き加減に落とした。
その動きは地球の引力に干渉されずに舞い、命を吹き込まれた演技のようだった。英良は吸い込まれるように見ていた。
女性は納得がいかないのか、視線を落として俯いて歩を進める。最初の踊りが一番良かったためか、二度、三度練習していくうちに演技の精度が落ち納得がいかないという気持ちが英良に伝わって来た。
再び踊り出す。その演技には見ている人を惹きつける魅力があるようだ。それはいくら練習しても努力しても身に付かない神から与えられたその人だけの能力のように感じる。
「主(あるじ)よ……分かっているか。間も無く、近づく悪意。警戒を強めるのだ。ここから先何が起こるか。恐らく悪しきもの、然し何故この時に。主よ。共々警戒せよ」
突然警告する者がいた。