「バーレスクダンスはあまり知られていませんから」英良は美咲の顔を黙って見ていた。「あまり浸透していませんからね。私は、バーレスクダンスで世界の十数カ国を回ってきました。今回は、日本でショーができるので大変嬉しく思っています」

「そうですか。頑張ってくださいね?」

「ありがとうございます。ところで英良さん? バーレスクダンスの事はあまりよくご存じではないと言われましたね?」

「すいません」

「いいえ、いいんですよ。バーレスクダンスを知りたいとは思いませんか?」

「知りたいですが、どんなダンスですか? 例えば、ベリーダンスに似てるとかフラメンコに似てるとか?」

「とてもセクシーなダンスですよ。ベリーダンスやフラメンコとは少し違います。でも、全てのダンスに共通しているのが、いわゆる重力を相手にすることかな」

「重力ですか?」

英良は気の利いた言葉が出てこずおうむ返しに返す。

「そうです。一連の動作が全て繋がっていて、流れが悪くなると全て見栄えがしなくなります。スタミナと体力も必要とされますけどね」

微笑む彼女の表情には特徴があった。

「私たちのように肌を曝して人前に立つということを忌み嫌う人がいますけど。私たちは職業ダンサーですから。身体で仕事をして稼ぐというか、普通の仕事とは違っていますから。そういう偏った眼で見られることを、いつも心配しています」

そういう彼女の顔には一抹の怯えと乗り越えたくても越えられないものがあるという混在した感情がある。

 

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