「ホントだよ。私立に落ちて、国立もまさかの1次落ち。二期校も申し込んでおけば良かった」

それに西尾が突っ込む。「この間、深田から電話があって、何となく嬉しそうだったから、『おっ、どこか受かったのか?』って聞いたら、『予備校に受かった』だって(笑)」

深田が自嘲気味に言う。「合格掲示板に初めて自分の番号を見つけて思わずガッツポーズして、すぐに、これは予備校ではないかと気づき、近くには人がいなかったけど、なんだか恥ずかしかった」

別の後輩が話しかける。「白川先輩も、浪人するんですか?」

「ううん、浪人するか随分迷ったけど、やっぱり大学に行くことにしたわ。私も花の女子大生(笑)」

西尾が言う。「俺のことは誰も聞いてくれないの?」

西尾は早くもこれぞ大学生という感じのブレザー姿に蝶ネクタイの大人びた格好だったので、みんな聞く気にもなれなかったらしい。

深田は浪人で予備校、白川は滑り止めの女子大、西尾は第1志望校、とそれぞれの新しい生活が始まることになった。

〈テーマ① 202×年3月某日(土曜)午後1時15分頃〉

(小会議室からの音声が、館内に響き渡る)

「会場の皆さん、そしてインターネットで参加されている皆さん、こんにちは!」

(人工音声ということで、やや無機質な声だが違和感はない)