もう他界された方々がある。もう少し聞きたいことがあったが、そんな最後の世代に会って話を聞く時間は貴重だった。
お金で何でも便利に食べ物を買える現代、食料危機が現実になるかもしれない不確実な時代にあって、厳しい自然環境で自らつくって食べて生きてきた人たちが受け継ぎ、生きる力を育んだ食と農を伝えたい。
またヒエをはじめとした雑穀が貧しさの象徴とされることに異を唱えたいとも思う。雑穀の原風景を求める旅は、自然とともに生きる暮らしと食と農の原点をたずねる旅だった。
原点をたずねるうちに図らずも現代の食と農の姿が見えてきた。白いコメ、精選度が高い穀物、外国から輸入した「おいしい」食べ物、添加物や保存料を加えながら広く流通する「おいしい」加工食品……。金を使わずに素朴で自然の素材だけで手をかけてつくった「粗食」は対極にあるようだ。
外国に肥料や飼料を依存するのではなく、土を基本に、土地にある資源を使って作物も家畜も育てる。自然環境によく農産物にも人の体にもよいもの。
雑穀とその周辺にかつてあった素朴な食と農の原風景をたどりながら岩手県北部と北上山地から日本の食と農、地方の未来を考えてみたい。
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