『教師として生きてきたバツイチ鬱治療中の47歳女性』
【みつき】
私はこれまで、その辺にあるようなありきたりな人生を送ってきた。名前は「みつき」。
人と違うことといえば、結婚して出産してからも小学校の教員として仕事を続けてきたこと。世の中の男性と肩を並べてバリバリと仕事をしてきた。地方公務員の中でも、教員という世の中からは厳しい視線を注がれる専門的な職業。でも、やりがいはあり、自分で言うのはおこがましいけれど、他の同僚よりは仕事をしっかりとして、認められてきた。
学級崩壊やモンスターペアレントと世の中で騒がれることが多い昨今。
けれど、そんなことは私には無縁だった。
学級崩壊が起こるには、それなりに理由がある。これを説明することは難しいけれど、要するに、目の前の児童の要望に対して、教師としてどう向き合うか。そして、未熟な児童がたくさん集まり集団生活をする学校という社会では、毎日当たり前のようにトラブルが起きる。その都度、そのトラブルにどう対応するのかの判断を瞬時に求められる。
これは学んで身につけられるスキルもあるけれど、教師の力量はその人が今まで生きてきた自分のバックグラウンドやセンスが大きいのではないかと私は思っている。瞬時に口から出る言葉、表情にはどうしても人間性が出てしまう。
そして、教員という職業には、外からは見えない仕事がたくさんある。ただ、児童に対して、授業をすればいいのではなく、その日のうちに宿題をチェックして返却すること、給食の時間でも給食指導という時間で休憩の時間にはならない。
さらに、事務処理はもちろん、教師としての力量を上げるために研究授業をしたり、教員それぞれの教科の専門性を高めるための研究実践をしたりする。
さらに最近では、常に児童の後ろには保護者という存在があり、学校でのトラブルは保護者への連絡も大切な仕事になる。本来、児童を指導することを生業としているにもかかわらず、この保護者への対応に悩まされる教師も多い。
とにかく、マルチタスクを求められる仕事ではある。
そんな中、私は、ずっと順調に仕事をしてきた。
長女が小学校6年生になり、母親としてのタスクが増えていた。そして、職場では“仕事ができる人”にだけくる、他の教員にはない学級経営とは関係のない見えない仕事がどんどんと集まっていた。私は車を運転するときも、家事をしながらも頭の中はフル回転で、毎日忙殺されるような日々を送っていた。
あるとき、学校の行事の中で、教え子が大きな怪我をした。もちろん、私が怪我をさせたわけではなかったが、責任感からその児童や保護者に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。それから、私は夜も眠れなくなり、ギリギリのラインで仕事をしていて自覚のないまま、脳からの指令なのか、私の体は動かなくなった。
教員にあるあるの『鬱』。
私は基本的にポジティブで、MBTI(ユングのタイプ論をもとにした性格診断)なら“主人公”。人が好き。陽キャ。まさか、自分が『鬱』になるなんて考えたこともなかった。
それどころか、「『鬱』になるなんて、仮病に決まっている」と鬱で休む同僚を疎んでいたくらい。
学校へ行かなくてはいけないという気持ちとは裏腹に体が動かない。頭が回らない。食べられない。眠れない。涙が止まらない。
完全なる『鬱』だった。
もう、休むしかなかった。
私を慕ってくれる学級の児童には申し訳ない気持ちを拭いきれないまま、休職になった。
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