まえがき
前作「冬日可愛(とうじつあいすべし)」を執筆し、刊行させて頂いてから二年が経過した。
前作では、中学校の教員になるまでの経緯や教職に就いて間もない頃の失敗談、そして着任した一校目、二校目の経験の中で、その都度考えたことを書き綴ってみた。それによって、ほんのわずかでも現職の先生方を励ますことにつながらないかと期待してみたのだが、いまだ微力にも到っていないようである。
今回は、職場の異動を繰り返す中で、三校目以降の出来事を綴っていきたいと思う。近年に到っても、小中学校の先生方の置かれている過酷な状況は何ひとつ変わっていない。
私の拙著一冊程度のメッセージが何の力にもならないことは、あらかじめわかってはいたのだが、それにしても近隣の学校から、心を病んで病休に陥ってしまった先生方の情報が次々と聞こえてくる。
その影響は確実に生徒たちの学習の進度に関わってくる。すでに職を離れてしまった高齢者である私には、その支えになるすべはない。ただただ陰ながら応援するのみである。
私も悩んだ。つらかった。何度もやめようと思った。
しかし、定年退職を経て現在に到って振り返ってみると、その一つ一つの場面にいたのは自分一人だけではなかったと思う。
人に知識や経験を伝え、次世代の子どもたちを育てていく。「学校の先生」はすばらしい職業である。その魅力については、その仕事を目指したスタート時点で誰もが強く感じていたはずである。
だとすれば、もう一度その魅力を、そのすばらしさを思い出そうではないか。