当時、この耐震工事を担当していた設計士とは天地神明に誓って友になれはしないだろう。毎朝教室に入るたび、僕はVの席に座ることが恥ずかしくて苦痛であった。

また、世界の中心で「V」と叫んだケモノが犯した罪はこれだけではない。僕の心に羞恥心を生じさせるばかりでなく、物理的な意味でも僕に弊害をもたらした。それは僕が窓際の席に座ることで享受することのできる眺望の妨害なのである。

「V」という鉄骨に阻まれて景色が見えないのだ。僕の席から外の景色を眺めようとすれば、首をニュニュニュッと差し出して、この「V」を躱(かわ)して眺望を楽しまなければならない。はっきり言って邪魔でしかない。息が詰まる。

何がVictoryなのかは知らないが、こちらとしては全然Victoryじゃない。こんな圧迫感しかない鉄骨教室、本当に嫌だ。僕は早いこと進級して別教室へ移り、新たな非V生活を心の底から望んでいた。

今日だってそうだ。物思いにふけりながら、僕は「V」を躱して、窓から広がる景色をぼうっと眺めている。

次回更新は3月19日(木)、14時の予定です。

 

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