滝の勢いは雨量により違うが、滝の水はしぶきを上げながら滝底に吸い込まれてゆく。しばらく妄想に耽りながらこの滝を眺めていると、人はこの滝に向かって這い上がることは不可能だが、滝を避けながら岩場伝いに這い上がる小動物がいるではないか! 困難があったとしてもそれを越え地道な努力をしている。
自分に言い聞かせながら……。その後、大学に入学してからも当時のことが忘れられず、前期試験の準備や夏休みを兼ねて何回かこの学生村を利用することがあったが、その時の学生村生活を超える集中した勉強はないと思う。
当時のことは二人の息子に話したことはないが、今は夫婦二人だけの生活となったため、自分たちが一番印象に残っている場所を訪れようと5~6年前に再度、この学生村を訪ねてみた。
しかし残念ながらその当時の面影はなく学生村は普通の民家となり、立ち寄った宿はすでに世代交代されていた。考えれば、日本の夏は熱帯化し学校や予備校にはエアコンが完備され教育をする環境は素晴らしく整っている。
都会から夏の避暑として信州を訪れることはあっても、わざわざ学生が勉強をするために訪れることはなくなり、学生村はその使命を終え今は良き思い出となったということであろう。
人それぞれ1年待って目的を達成する経験は様々であると思うが、達成するための熱意や努力には非常に大きなエネルギーが必要とされる。その結果、目的が達成されれば今後の人生に大きな自信となると言っても過言ではない。
コロナ禍でオリンピック・パラリンピックを開催した日本のこの1年の努力は、今後未知の感染症と闘わなければならなくなったオリンピック・パラリンピック開催国によい参考となることであろう。
(令和3年8月)