1 発端

―外国人技能実習制度―

そして3月末の卒業式の日、式典の後のゼミの打ち上げ会は、今年度最後ということで盛り上がった。

そこで吉岡はあるアジアの国からの留学生と酒を飲みながら雑談をしていた。彼は言う。

「日本はいい国だ。国がいいから国民がアジアや世界では一目置かれる。でも私の国は政治や経済がだめだから、個人が優れていても国や国民全体が軽く見られる。この状況を変えるには政治を変えなければならない。僕は母国に帰ったら政治家を目指すつもりだ」

そして続けた。

「君は途上国の人々を日本に受け入れる仕事をするんだって。すばらしいことだよ。いろいろと問題はあるって聞いているけど、日本のすばらしさを送り出し国に伝えてくれよ」

吉岡は国際政治については関心があったが、日本の政府の政策・政治についてはあまり関心がなかった。知識もインターネットのニュースに掲載されてある程度のことしか知らなかったし、それ以上突っ込んで考えたこともなかった。でも自分の仕事がアジアの留学生に認めてもらったことは素直に嬉しかった。

そして無事卒業し、4月1日に就職することとなった。

2 最初の仕事

外国人技能実習制度には、企業単独型と団体監理型がある。企業単独型は送り出し国にある子会社等から親会社に直接実習生を受け入れる方式だが、送り出し国に子会社等がない中小企業は日本にある監理団体を通じて送り出し国から実習生を受け入れることになる。

これが団体監理型と呼ばれる受け入れ方式であり、監理団体は送り出し国からの実習生と実習を実施する企業とを繋ぐ役割を果たす。