2 最初の仕事

早苗さんは自分の親が経営する会社が外国人技能実習生を雇用していることで国際貢献をしていると思い、そのことを誇りに思っていた。

近所の催しにも実習生を積極的に誘い、 B監理団体が監理している他の企業の実習生ともメッセージアプリ等で連絡を取っていた。

父親も家でたびたび「日本に優秀な外国人が来てくれることはありがたい」「海外から優秀な人材が多く来てくれるような国にしなければならない」「日本人もどんどん海外で活躍するべきだ」と言っており、そんな父親を尊敬していたようである。父親と早苗さんとの関係は良好だった。

しかし広沢社長には別の側面があることを、吉岡はB監理団体の同僚から聞いていた。

広沢社長は過去においては堅実に事業を進めていたが、妻に早逝された。早苗さんがまだ小学生の頃だった。

その後、しばらく落ち込んでいたが、やがて風俗で知り合った女性を家に連れてきて、そのまま後妻にした。しかし彼女は金遣いが荒く、家計は常に苦しかった。

人手不足により事業の拡大ができず、収益の面からも会社経営に行き詰まっていた広沢社長は、かねてから町会の会合での仲間であったB監理団体の理事長と相談し、事業を拡大するために技能実習生を受け入れることとした。

技能実習生の受け入れはB監理団体の理事長のアドバイスのおかげもあって順調に進み、従業員も増えたことで事業を拡大することができるようになった。

ところが事業が拡大するにつれて、後妻のいでたちは一層派手になり、広沢社長も以前とは異なって、周囲に対して尊大な態度を取るようになっていった。周囲からは「広沢社長は人が変わったみたいだ」と言われている。