吉岡がB監理団体で最初に与えられた仕事は、担当する実習実施企業の指導であった。月に1回実習実施企業を巡回し、実習生に対する生活指導や職業指導がきちんと行われているかについての様子をヒアリングし、不正がないかを探ることが主な内容である。
また、技能実習生の採用の補助がある。アジア諸国から日本で働きたいと考えている実習生の面接の準備や実習実施企業との連絡役だ。送り出し国への出張の機会もありそうなので、それは楽しみにしている。他にも、実習生を受け入れる際に実習実施企業が行うべき書類の作成方法の指導も手掛けていた。
さらに、新しく技能実習生を受け入れたいと考えている企業を開拓する営業のような仕事も任されていた。
B監理団体は理事長のキャラクターを反映してか、どこか暗くて重い雰囲気の職場だった。社員数だが、正社員は5名程度、パート・アルバイトも含めると合計で10名前後である。残業はあるが、特にブラック企業という感じではない。しかしどこか職員に活気がない。
同僚とも一緒にランチに行ったりして話はするのだが、夜に飲みに行こうというところまではいかない、ある意味でクールな人間関係だった。その中でも、理事長の話や実習を実施している企業の様子などは、ランチの時に意見交換することはあった。
技能実習生に係る仕事は面倒なことも多々経験するが、結構やりがいがあり、充実した日々を過ごしていた。
吉岡はB監理団体の傘下の実習実施企業の何社かを担当していたが、その中のF建業の広沢社長には、早苗さんという娘がいた。