【前回記事を読む】個人投資家が使うべき指標。銘柄選好で、リスクを管理する「β値」と期待値を割り出す「CAPM」の活用するメリット

第3章 タイプ別・機関投資家の思考法

COLUMN 7 DCFとは

DCFとは、企業価値を計算する手法の1つで、ディスカウントキャッシュフロー法をDCF法と呼びます。日本では割引キャッシュフロー法と呼ばれることもあります。

企業が将来どれくらいのキャッシュフローを得るかを計算し、将来の不確実性やリスクを割引率として考慮したうえで計算式から企業価値を算出します。

M&Aの教科書には、企業価値算出法には、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチがあり、DCF法はインカムアプローチに分類されるとあります。

コストアプローチやマーケットアプローチは、純資産や類似会社との比較から企業価値を算出するのに対し、インカムアプローチは将来の収益を予想して企業価値を計算するので、株式市場における上場企業の企業価値計算として、機関投資家やアナリストが最も使う企業価値(バリュエーション)計算手法と言えます。

DCF法で計算する際に、WACCを割引率に使います。WACCは先述のとおり、債権者と株主が対象企業に求める期待投資利回りの加重平均を示します。一般的には、予想する最初の5年間のフリーキャッシュフローは会社の事業計画を基に、アナリストや機関投資家は独自予想を作ります。

割引率もWACCを用いて、現在価値を計算することができます。ただ、企業は6年目以降も存在します。

しかし、6年目以降の予測精度は落ちるので、WACCから永久成長率を引いた数字を割引率とします。永久成長率はインフレ率などを考慮しますが、0~1%で入れる場合がほとんどです。

証券会社によっては、便宜上、永久成長率をゼロに統一して、計算したことをレポートで表記しているところもあります。

バリュー投資家の投資対象

バリュー投資家が投資対象と考える企業はバランスシートが良好な企業、すなわち、負債の少ない企業と考えられますから、WACC計算においてCAPMと加重平均される負債コストの規模は比較的小さいので、WACCの値は CAPMに近いと考えてよいでしょう。

回りくどい言い方をしましたが、大事なのは、WACCやCAPMを上回るROICは何パーセントかということです。

ROICは、税引き後営業利益÷(運転資本+固定資産)で求められるのですが、概念がなかなか難しく、株式指標を扱った証券系Webサイトでも簡単に入手できる指標ではありません。

一部の企業がホームページのIRサイトで開示している場合もありますが、多くはありません。バリュー投資家は独自の計算でROICを算出していると考えられます。