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第3章 タイプ別・機関投資家の思考法

総資本回転率の高い業態の企業に注目

総資産回転率(純資産額に対してどれだけ効率的に売上高を生み出したかを示す指標)は、なかなか製造業にとって上昇させることは難しいですが、同じ設備を活用した高付加価値製品への移行などは、新規の設備投資による総資産増加を抑制して売上高を増加させる1つの戦略です。

逆に、設備を有しないファブレス(自社に工場を持たない)企業や、コンテンツ等のソフトウエア企業は、大規模R&Dセンターの新設等がなければ、もともと総資産回転率は高いはずですが、プラットフォーム市場が拡大することで、総資産を増やさずに売上拡大のメリットを享受することができます。

例えば、SpotifyやApple Musicといった音楽配信プラットフォームは、スマホの普及によってユーザー数を拡大させました。

一方で、音楽コンテンツを有するユニバーサルミュージック、ソニーミュージック、ワーナーミュージックといった音楽レーベル企業は、自社コンテンツを配信するプラットフォーム拡大によって、売り上げを拡大させることができました。

ゲーム業界でも同様のことが言えます。ゲームソフトのディベロッパーやパブリッシャーは、マルチプラットフォーム展開をしていれば、1つのタイトルをプレイステーションとニンテンドースイッチ向け両方で販売できるため、ビデオゲームハードの市場拡大そのものが売上高の拡大につながります。

大型タイトルの開発には多額の開発費用がかかるため、目標の販売台数に達しなければ収益性はむしろ悪化し、売上高当期純利益率にはマイナス要因になる場合がありますが、構造的には高水準な総資産回転率を維持し、高ROE体質は変わらないでしょう。

財務レバレッジは倒産リスクをチェックするために見る

さらに、財務レバレッジ(少額の資金で大きな金額の取引を可能にする仕組み)ですが、こちらは議論が分かれます。

過少資本で借入金の多い企業は、財務レバレッジが高くなり、ROEにはプラス要因になりますが、財務レバレッジを上げるということは、総資産のうち負債の比率を上げることを意味します。企業は自己資本ではなく、借入金で資金を調達することにより、ROEを上げることができます。

しかし、これは、バランスシートの負債比率の上昇、すなわち、倒産リスクの上昇を意味します。私の認識では、大手のグロース投資家は、高ROE企業のなかでも、デュポン式で財務レバレッジが高い企業を投資対象から外すのではないかと思います。