【前回記事を読む】「東証」が問題視した「PBR1倍割れ」企業の割合…米国や欧州と比較すると、日本の企業数は際立って多かった。

第3章 タイプ別・機関投資家の思考法

グロース株は金利に敏感であることに注意

逆に景気が上昇局面にあるときは、グロース株よりもバリュー株が上昇するものです。直近の経済情勢は不透明感を高めていますので、一般的にはグロース株優位のはずです。しかし、もう1つ重要な視点は、これも景気と大きく関わるのですが、金利との関係が非常に強いということです。

PERという指標は株価÷EPS(1株当たり当期純利益)ですが、これは益回りの逆数です。つまり、高PER=低益回りということになるので、好景気で金利が上昇する局面では、金利のほうが益回りより高くなることが多く起こるため、高PERのグロース企業の株価が売られることになります。

逆に、低PER=高益回りの企業が相対的には好まれ、株価もしっかり上昇を続けるケースが多いのです。

日本株において、バリュー株というと金融株を中心とした内需関連株を指すことが多いです。金融株はまさに、金利上昇で最も収益が拡大する業界ですから、株価も上昇して当然と言えるでしょう。

実際、ゼロ金利からマイナス金利へと、景気浮揚策を講じてきた2025年から低水準ながらもプラン金利に転じたことは、メガバンクを中心とした金融株の上昇を導きました。

ただし、通常は景気に高揚感があり、インフレを是正するために金利引き上げが行われるのですが、日本の場合は為替要因が大きかったと思います。

確かに、日本の物価は上昇しています。円安で輸入材料コストが上昇しているため、最終商品の値段を上げなければ、メーカーも小売業も採算が合いません。

ただ、日銀の金融政策において、金利引き上げを決断したものの、いまだ小幅であり、慎重なスタンスを崩さない背景は、所得の上昇が物価の上昇に追いついていないため、消費者マインドが今ひとつ高まらないことが理由として挙げられます。

アメリカはどうでしょう。確かに、物価上昇は日本と比べ物になりません。しかし、労働者の賃金は、それ以上に上昇しているので、理論的には消費は落ちず、経済は成長します。

いわゆる実質賃金の格差のことです。名目賃金上昇率から物価上昇率を引いた値が実質賃金ですが、日本はマイナス基調が続いています。逆にアメリカはプラス基調が続いています。

そんな状況下での、日本の金利引き上げということです。好景気ではない状況での金利引き上げなので、セオリーどおりに、高PER=低益回りのいわゆるグロース株が売られる理由はないはずです。

そこに日本の株式市場の複雑さがあるわけですが、グロース投資家はこのような局面では積極的に高PERの銘柄を買うと考えられます。

実際、半導体関連のようなシクリカル企業は高い上昇率を継続しないまでも、高いボラティリティで、下がったら強い買いが入るという、人気の健在を物語っています。

ましてや、事業ポートフォリオの変革に成功して、レッドオーシャン(競争の厳しい既存市場)からブルーオーシャン(競争のない新領域の市場)に変貌を遂げた企業の相対的な上昇余地は高いと言えるでしょう。