【前回記事を読む】バリュー投資家のノウハウを投資に活かす! バランスシートが良好な企業に「ROE」が使えるが…注意すべき点があった。
第3章 タイプ別・機関投資家の思考法
PBR1倍割れ企業のプレッシャー
もともと東証が問題視したのは、2022年9月30日の東証の参考資料「フォローアップ会議における議論と現状」によると、日米欧の主要株式指数の構成企業のうち、PBR1倍割れの企業の割合は米国(S&P500)5%、欧州(STOXX600)24%に対して日本(TOPIX500)43%となっており、日本のPBR1倍割れが際立って多いことでした。
フォローアップ会議では、日本のプライム市場上場企業の約半数がROE8%未満だったことも指摘されました。
その後、PBR1倍割れ企業は続々と施策を打ち出しています。2022年9月時点で43%だったPBR1倍割れ企業の比率(TOPIX500)は2024年9月時点で38%になったとの報道(ブルームバーグニュース)がありました。
それでも欧米には大きく劣っており、相当数のプライム上場企業が、上場廃止やスタンダード市場への市場区分変更を迫られることになるので、そうした企業の経営者は中期経営計画で ROE目標を設定するだけでなく、毎年の進捗状況と評価も行う必要があります。
さらに、進捗がスローな場合、決算説明会において、アナリストや機関投資家から厳しい質問を受けることになります。
私がかつて担当していたある企業は、PBR1倍を達成するために何をすべきか知るために、大手コンサルティング会社と提携しました。
そして、私を含めた数人のセルサイドアナリストとディスカッションを実施しました。一部の機関投資家は、そのことについて「経営の無力さを認めているようなもの」と蔑(さげす)みましたが、課題に真摯に向き合う姿勢は大事だと私は思いました。
多くの日本の企業のトップは生え抜きで、社内競争を勝ち抜いてきた精鋭です。ただ、精鋭のサラリーマンが優秀な経営者になれるとは限りません。なぜなら、トップを経験するのが初めてだからです。その会社は、その後大規模な自社株買いを実施、結果的に、2024年3月期にPBR1倍を達成しました。
ここで述べてきたバリュー投資家が同社の株を買ったのかどうかあえて言及しませんが、その後、アクティビストの持ち分増加もあり、株価は大きく上昇しました。個人投資家はバリュー株にもっと目を向けるべきと私は考えます。改善の余地がそれだけ大きいのですから。