【前回記事を読む】株の勝敗は投資判断の早さで決まる——後追い投資をするよりも効果的な情報は…
第3章 タイプ別・機関投資家の思考法
資本コストという考え方
バリュー投資家はCAPM(資本コスト)やWACC(資本コストと負債コストの加重平均)を算出し、予想されるROIC(投下資本利益率)がそれらをどの程度上回るのかをシミュレーションします。
さらに、その持続性を図るために、5年から10年の長期的なキャッシュフローを予測し、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)モデルによって妥当株価を算出するのです。
DCFモデルでもう1つ重要な変数はβ(ベータ)です。β=1であれば、インデックスと同様の株価の動きを意味します。また、β>1であれば、市場の変動幅を上回る値動きを示します。
さらに、β<1であれば、市場より小さな変動であることを意味します。さらに、βがマイナスであれば、市場と反対の値動きということになります。
β値はオンライントレードの主要指標でも入手可能ですから、個人投資家が投資を検討する銘柄については、是非β値を知っておくべきだと思います。
β値はWACCを計算するにあたって、CAPM=資本コストを算出するために必要です。CAPMの計算式はrE=リスクフリーレート+β値×マーケットリスクプレミアムです。
一見難しそうに見えますが、リスクフリーレートには国債10年利回りを、マーケットリスクプレミアムはだいたい株式投資関連のWebサイトから入手できます。
4~6%を使うことが多いようです。日本の10年国債利回りが1.5%(2025年3月時点)なので、βが仮に1.1ならば、1.5+1.1×4で5.9%になります。たいてい6~8%がCAPMとなる場合が多いと言えます。
COLUMN 5 CAPMとは
CAPMとは、Capital Asset Pricing Modelの略で、個別株式が持つリスク(β値)から、当該株式に投資をしている投資家がどの程度の収益率を期待するのかを関係づけたフレームワークです。頭文字をとって「キャップエム」と読みます。
投資家から見ると、例えば、A株式を購入した場合、どれくらい儲かるかを計算式で示そうとしたものです。あくまで理論上の期待値です。
β値に市場のリスクプレミアムを掛け合わせた数字をリスクフリーレートに足して求めるので、株を買う理由は、さすがに、日本国債のようにリスクが最小の金融商品から得られる利回りよりは儲かることを期待しているわけです。