では、どのくらい国債より儲かると計算できるでしょうか。市場リスクプレミアムは、日本の株式市場がどのくらい儲かるものなのかをヒストリカルに算出したものです。TOPIXのリスクプレミアムを用いる場合が多いです。

日本国債利回りにTOPIXの過去の平均的な利回りを加えただけでは、銘柄ごとの株価変動の傾向が反映されないので、市場リスクプレミアムに個別株式のβ値を掛けるのです。

CAPMで求められた株式の期待収益率(期待リターン)は、その株式を発行している企業からすれば、資本コストになるわけです。

B/S(貸借対照表)を思い出してください。左側には、資産が計上され、右側には、その資産を得るために資金をどうやって調達したのかを計上します。

そこには、負債と資本がありますが、負債は銀行借入ですから、負債コストは借入利息ということになります。

そして、資本は出資者である株主に、彼らが期待する収益率を載せて返す、という考え方をすれば、負債と同様にコストという概念が理解できるでしょう。

WACC(Weighted Average Cost of Capital)の説明で、資本コストと負債コストの加重平均とありましたが、企業の経営者は、お金を貸してくれた金融機関が期待する利息と、出資してくれた投資家の期待収益率の両方に応える責任があります。

COLUMN 6 ROICとは

ROICとは、Return On Invested Capitalの略で、「投下資本利益率」を意味します。企業が投下した資本に対してどれだけの利益を生み出しているかを示す重要な財務指標です。

ROICを理解することで、CAPMで計算された資本コストを上回るROE、WACCで計算された資本コストと負債コストを上回るROICを企業は目指さなければならない、と言われる理由を説明できると思います。ROEは当期純利益÷株主資本で計算されます。

そこでは、負債コストは意識されていないのです。一方のROICは、税引き後営業利益(NOPAT=Net Operating Profit After Tax)÷投下資本で計算されます。

投下資本は有利子負債と株主資本を合計したものです。したがって、対比する利益は、純利益に支払利息等を加えた税引き後営業利益となります。

次回更新は3月14日(土)、8時の予定です。

 

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