【前回の記事を読む】心の弱さが自分を苦しめる。悔恨のはじまりは、兄の企み――ある日突然、会社の裏切り者に仕立て上げられた

第一部

第二章 同行二人

同行二人

兄嫁は三人兄妹の末の一人娘で、実家の零細な同業者の誇りをもちつづけ、わが一族の人間関係の機微を推し量る知恵はなく、長男の嫁として弟の私を助けてやっているのに、弟の方は自分たち夫婦を助けようとしていないという被害妄想に取りつかれ、両親には夫をたてるよき妻を装い、実家に帰れば同じ被害妄想で愚痴ってみせた。

それを聞いた実家では長兄が今のうちに弟に財産が渡らないように手を打っておくべきだという「お為ごかし」の企みで兄の欲を刺激し、相続問題に長けた税理士を紹介してそそのかし、この企みに兄を縛りつけた。

かくして、ある日突然会社を逐われた私はブローカとして一人で働かざるを得なくなった。

両親は私を会社から排除したことに兄嫁の実家の人たちが関わっていると気づかず、兄と私との兄弟喧嘩と捉え、「弟は仕事ができるけれど、仕事ができる者は慢心するもので、それが出たのだろう、しばらく休養をとらせよう」と気楽に考えた。

そのことが根本にあったから、事態を誤解してしまったあなたは、夫である私のどこが悪いのかを、あろうことかこの企みの張本人である兄嫁に尋ねた。

その答えは「あなたの主人(私)が悪いのよ」という一方的決めつけだったが、あなたはそれを真に受けてどこが悪いのかを尋ねることもせず、私を追いつめて兄夫婦へ詫びを入れさせようとし、夫婦で家庭を守ってゆこうとしなくなった。

自分を「悪い夫」の被害者として、自分には「非」がないと不必要で誤った証明をしようとして、私の「非」を父に詫びて会社に戻してもらおうと頼んだりした。

私の父はそれをまた誤解して、私の方になにか「非」があるのだろうと考えてしまった。