【前回の記事を読む】家族5人で巡った四国一周の旅で起きた想定外のハプニング。ひどい宿、季節外れの台風接近、フェリー欠航、そして最後に…
第一部
第二章 同行二人
同行二人
そうした記憶が洪水のように溢れてきては、断ち切られて失われてゆくしかないという思いによって、激しい悔恨が呼び覚まされる。
そう、あれから二〇年、家族に囲まれた楽しい還暦を迎えられるはずだったが、兄夫婦と兄嫁の実家の人々の企みによって私は会社を逐われ、家庭もそのために壊れて、楽しい還暦はかなわなかった。
明るく晴れた淡路島の高速道路上のバス内で、明るく元気だった家族の記憶が反芻されて、失われた家族の絆を思うと胸苦しくなり、その苦しさを避けようとすると、心は懐かしいものから苦い悔恨へ沈み込んでゆく。
なによりも私を苦しめるのは、その企みを撥ねのけることができなかった自分の心の弱さだ。
この「心の路」を歩く旅はその弱さの内容を明らかにして克服したいからで、まずそのことからあなたに話さなければならない。