因果応報
「プロポーズされた!」と、娘からスマホにラインが届いた。真っ赤な薔薇の花束を抱えた娘の写真が添えられている。
もう十分年頃だし、いつまでも親の脛をかじり続けられても困るので、喜ばしい報告ではあるのだが、どう返信すればよいのか夫婦で考えあぐねた。
娘は「なんで直ぐに、おめでとうって返信してくれへんのよ?」と、文句を言っているが、話はそう簡単なものではない。
妻は「今までどれだけあの子に投資し、大切に育ててきたと思ってんのよ。そう簡単にくれてやる訳にはいかない!」と言う。医者か弁護士のように高収入か、もしくは資産家の家に嫁いでくれるものと算段していたらしい。
私は私で、「何を勝手に!」という思いがある。
産まれた時から私がずっとお風呂に入れてきた。何処に行く時も、ずっと抱っこして歩いた。
思春期には人並みに反抗されたし、娘が飼ってきた数々のペットも、私が全部看取ったのだ。
それを、いきなり横から現れて、何の苦労もなしに、美しく育った果実だけを頂こうなんて虫が良過ぎる。
近日、彼氏が家に挨拶に来るそうだが、何て言ってやろうかと思索を練っている。
30数年前、妻の両親にも同じような思いをさせたんだなと、今頃になって気付かされた。
因果応報の何ものでもない。
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