【前回記事を読む】ゴルフの練習場で、こちらを見て笑みを浮かべる人物がいた。目を疑ったが、よく見ると同じ服を着ていて…

おっさんのシンフォニー

デジタル変換

技術の進歩には目を見張るものがある。

私の子供の頃、母は家族8人分の衣類を洗濯板で洗っていた。母にとって、洗濯機の登場は夢のような出来事であったに違いない。

それからというもの、高度経済成長の波に乗って、冷蔵庫、テレビ、電話、クーラー、自動車と、便利な物が次々と世の中に現れた。

特に、ビデオカメラが登場した時の驚きはなかった。初めて見る、動く自分の姿や、聴き慣れない自分の声に嬌声を上げたものだ。

子供が誕生してからというもの、成長の過程はつぶさに記録した。

しかし、ある時期を境に、進歩のスピードが一段と増し、VHSで記録していたかと思うと、今度は8ミリになり、今ではデジタルである。

折角残した子供たちの成長記録も、再現する機材がこの世から姿を消し、見られなくなってしまった。そのお陰で、数多(あまた)のテープ類は、ほこりを被ったまま引き出しの奥に忘れ去られていた。

ところが先日、新聞の折り込み広告で「VHSや8ミリをデジタル変換できます!」と出ていた。私は早速、大量のテープ類をお店に持ち込み、デジタル変換をお願いした。

待つこと1ヵ月。

はやる心を抑えつつ、焼き上がったDVDを、テレビの画面に映し出した。

すると、砂嵐のような縞模様の画面の後、子供たちの赤ちゃんの頃の姿や、今は亡き、若かりし頃の父や母の姿が浮かび上がった。

感動のあまり、目頭が熱くなるのを抑えられなかった。

成人しても心配ばかり掛け続ける子供たちにこれを見せたら、少しは心を入れ替えてくれるだろうか。

こんなに深い愛情のもとに育てられたのだ。