メダルは、この国を治める者の証ですから、このようにして一つひとつ寧丁(ていねい)に確認しては、また箱の中に納めていきました。

五つのメダルの吟味も終わり、その出来栄えに満足すると、王さまは、ふと、今は亡き皇太子アルバートからの手紙のことを思い出しました。五つ子が生まれた時に、皇太子アルバートが三人の王子と二人の王女の名前を書いて花の都から送ってきた、あの「手紙」のことです。

王さまは、大切にしまっておいたその手紙を家来に持ってくるように命じました。 手紙は、王さまの書斎(しょさい)の奥に大切に保管されています。家来は大広間の重い扉を閉めると、足早(あしばや)に王さまの書斎に向かいました。

が、広い宮殿の中のこと。家来がその手紙を持ち帰るまでには、少し時間がかかるでしょう。王さまは、誰もいなくなった大広間で何もすることがなくなり、無意識のうちに頭の王冠に手をかけたかと思うと、王冠を直すでもなく、逆に王冠を頭から外して机の上に置くのでした。

王さまは、しばらくその王冠をじっと見ていました。

が、ひときわ大きい一粒の赤い宝石に手をかけたかと思うと、力を込めて一ひねり。

宝石が王冠からはずれると、王さまは手の中にしっかりと握りしめました。すると、王さまは玉座の前の机の下にかがみこんで、赤い宝石を持った手を机の奥へとさし伸ばすのでした。

薄暗い机の奥には、王国の紋章ペガサスがうっすらと描かれた扉が見えます。その紋章の下の方に、ちょうど宝石が収まるくらいの小さな「くぼみ」があります。赤い宝石は王さまの手で、そのくぼみに納められました。

すると、どうでしょう。ペガサスの描かれた扉は、真ん中から二つに割れて、ゆっくりと左右に開くではありませんか!

王さまの机の裏側は械機仕掛(きかいじか)けの秘密の戸棚になっていて、赤い宝石の重さでペガサスの描かれた扉が、自動的に開く仕掛けになっていたのです。王さまは、左右に開いた扉の奥に手を伸ばし、何やら「物」の感触を探り当てています。

手の動きが止まったかと思うと、王さまは両手でその物を包み込み、そーっと扉の外に取り出すのでした。

 

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