【前回の記事を読む】「彼女に会いたい……」でも、次に会うときは弁護士も同席…。俺たちの関係は「被害者」と「加害者」になってしまった
スクリーン ~永遠の序幕~
当然の再会
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10月22日。目覚まし時計が鳴る10分前に目が覚めた。外では雨が降っている。
「おはよう」
「あら、ちょっと疲れた顔しているわね。無理しないようにしなさいよ」
「大丈夫、大丈夫。今すっごく学校楽しいから」
今はあらゆることが貴重だ。この思いがすべてを後押ししてくれる。
「行ってきまーす。今日はちょっと帰りが遅いと思う」
「はーい。気をつけてね」
有希に会ったら、昨日のように思ったことをちゃんと話そう。そうすれば、今後の俺とのことを考え直してくれるはずだ。
突然クラクションを鳴らされた。驚くことに、赤信号なのに俺は横断歩道を渡っていた。
半分以上渡っていたので、周りを確認して車の運転手に頭を下げながら渡り切った。どこから上の空になっていたのだろう。ちゃんと傘をさしていたはずなのに随分と色んなところが濡れている。
何か調子がでない。2時間目の授業から徐々に集中できなくなってきた。有希に聞きたいことばかりが浮かんでくる。
〈悩み事があったのか〉
〈俺に不満があったのか〉
〈どうして自殺しようとしたのか〉
〈誤認逮捕は計画的なのか〉
こんなことを聞いたら有希は嫌な思いをするだろうか。
「痛っ」
顔にバスケットボールが直撃した。
「今岡、どこ見てんだ? そんなに時間が気になるのか」
体育の先生が言う。俺は、時計を見ていたのか?
学校が終わる時間には、自分が描いていたイメージとかけ離れ、疲弊している。トイレで鏡に映る自分に向かう。強い視線で自分を見て、顔を洗い深呼吸をした。
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まどか珈琲(コーヒー)店の前で時計を見ると、約束の時間より30分も早い。どれほど早足で歩いてきたんだろう。雨は上がっている。