同級生の自殺と浪人生活
「やっぱ努力なんだよな!」

高校時代の同級生のひとりが自殺した。

それは高校3年で、卒業式が執り行われ、合格発表を含めて大学入試のすべてが終わった後だった。

前項でも述べたが、僕の高校時代は暗く冴えなかった。成績も低迷を続け、この時期の自分はすべての受験に失敗して浪人が決定していた。

けっして仲良しというわけではなかったけれど、彼もそのクチだった。どちらかというと内向的な性格で、クラスで目立つというにはほど遠かった。属していたクラブは文化部で(美術部か、化学部だったかな?)、要は帰宅部だった。

在学中の一時期、僕は偶然彼の隣の席になった。そのときにはそれなりに話す機会はあったが、たいして友だちがいるようには見えなかった。

特別な思想を持っていたり、特殊な事情を抱えていたりするような生徒ではなかったけれど、腕時計を外して、その革ベルトをムチに見たててビシビシ物を叩いていたことを覚えている。が、それも別に冗談にしか見えなかったし、僕もアホなことをしているなというくらいにしか感じなかった。

あとは、少しだけ物事を深刻に考えるようなところも見受けられたが、それも常識の範囲で、要するにごくごく普通の大人しい男子だった。

誤解のないように言っておくが、僕の高校にはイジメがなかった。生意気で鼻持ちならない男子はいたけれど、あからさまにいじめるという風土は、わが校にはなかった。

きっと多くの生徒は、他人をいじめるメリットなんてものを感じていなかったのではないか。そんなものに傾倒(けいとう)するなら、隣の女子校生とどう付き合うかを考えたほうが、よほど実りのある学園生活になる。

そういう意味では不良もいなかった。教育実習で来る実習生からは、いつも「この高校は真面目な男子が多く、風紀も良い」というようなことが語られていた。

 

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