【前回の記事を読む】見えない神と人間のあいだを取り持つ者――第二イザヤとキリストが示した欧米的カリスマ原像
第2章 カリスマが欠かせない欧米社会
マックス・ウェーバーが説く現代版カリスマ像
ヨーロッパで古くから存在していたカリスマの意味、歴史を解説してみました。
古代でのカリスマは神賦の才とし、中世ではカリスマを呪術師的な才を持つ仲介者として位置づけていました。
だが、社会学者のマックス・ウェーバーはカリスマの能力を呪術師的な仲介者だとする見方に同意せず、キリスト教のマルチン・ルターが唱えた「予定説」をカリスマに絡めてカリスマ論を展開し、カリスマの才は、新しい時代を見抜く「予知力の才」だと主張しています。
ルターが説いた予定説は、従来のカトリック教会が行っていた聖礼典等を中心とした信仰を否定し、信者にキリスト教の原典の精神に戻る事を予定説に絡めて説いています。
カルビンはルターが説いた予定説を広めて人々に、伝えた人とされています。
予定説の骨子は、「人が肉体が滅んだ後の死後、人の魂が神のいる天国に入れるか否かは、神が予め決めている」とするものです。
人はいずれ死ぬものです。死後自分の魂が天国に入れるか否かを神が予め決めており、人はこの決定にどうする事も出来ないとなれば、信心するヨーロッパ人は落ち着かなくなり、焦燥感に駆られるものです。
そこでカルビンは「神に召される者はその事を証明するように振る舞う」と説明し、「神に救われる者は倫理的な生き方をするものだ」と説いています。
倫理的な生き方とは「聖書に基づいて信仰をし、無駄のない生き方をするものだ」と付け加えています。
ルターが提唱し、カルビンが広めた予定説は、典礼典に従う信仰でなく、聖書の精神に戻る信仰を唱えています。
予定説は、プロテスタント系の教会に採り入れられ、典礼に基づく従来の信仰を180度転換させる力を発揮したと、されています。
マックス・ウェーバーは「ルターやカルビンが説いた予定説を聞いた人たちは、いてもたってもおられない焦燥感に駆られ、エスト(根本的な生き方)の返還を促した」と主張し、更に二人が唱えた無駄のない倫理的な生き方は「新しい資本主義の形成に資した」とも主張しています。