スタッフから、黒木さんが退所しないなら自分達が辞めると言い出されて、さすがに施設長も対応せざるを得なくなり、黒木さんに退所するよう伝えました。退所するまでゴタゴタが続きましたが、何とか退所させる事ができ施設長もほっとしたようです。
介護の世界は狭く、娘さんのモンスターぶりはどこの施設でも有名になり、お母さんを引き受けてくれる施設はなくなりました。訪問介護も誰も行きたがらず、担当になったヘルパーはすぐ辞めてしまうため、訪問介護も行う事ができません。
そのため娘さんが自分で母親の介護をしなくてはならなくなりました。ヘルパーの介護に文句をつけていた黒木さんですが、自分で介護をするとさすがに大変です。自分の親ですから誰も文句は言いませんが、その代わり誰も助けてくれません。
食事、トイレ、入浴など一人でやるととても大変です。くたくたになってもゆっくり眠る事もできません。
しかし黒木さんのような女性は、このような状況になっても、自分の言動を反省する事はありません。いつものようにケアマネが悪い、ヘルパーが悪い、施設が、奈良市が、国がと他責のオンパレードです。
黒木さんが疲れて眠っている時、認知症の母親は十分な食事をとれていなかったため、洗剤を飲み物と勘違いし、大量に飲んで消化管出血を起こして亡くなってしまいました。
救急車で病院に運ばれた時には、昏睡状態で処置のしようがなかったようです。それでも黒木さんはいつものように、
「医者は何もしてくれなかった。亡くなったのは医者が悪い」と病院を訴えました。悲しい事に医療や介護の世界にいると、このような話は特に珍しい事ではありません。人間の業はとっても深いのです。
次回更新は2月1日(日)、14時の予定です。