【前回記事を読む】入浴の介助をしている時、男性のあそこの先が膨らんでいた。(癌かな…)話を聞いてみると、「お前触ってみるか」と言われ…

第1章 利用者さんとずっと一緒

私レイプされたんです

服部は朝出勤してから、お泊まりをしていた利用者の山本さんに朝食を作って、部屋に持っていきました。

「服部さんどうしよう。昨日の夜、私襲われたの。当直の松田さんがベッドに上って、私を押さえつけレイプしたの」

山本さんはおびえながらも、少し恥ずかしそうに顔を赤らめて訴えてきました。前夜の当直は松田です。お泊まりは山本さん一人でした。山本さんは認知症が進んだ90歳の女性です。服部は、さすがにそれはないだろうと思いましたが、念のため松田に尋ねました。

「山本さんが、昨日あなたにレイプされたと言っているよ」

「服部さん、勘弁してくださいよ。僕にも選ぶ権利はありますよ」松田は憮然として答えました。

山本さんが嘘をついている事は明らかと思いましたが、念のため山本さんの部屋へ行き、状況を確かめようとしました。

「山本さん、松田さんがあなたに覆いかぶさってきたの?」

「そう、とっても重かったわ。息ができなくて死ぬかと思った」

服部は山本さんの布団を注意深く見てみると、白い少し硬めの毛が落ちているのに気づきました。服部は何が起きたか状況をすぐ察知しました。

昨日、他の利用者さんが、急遽手術のため入院する事になったため、飼っていた犬のチワワを、その間施設に引き取る事になったのを思い出しました。このチワワは子宮の手術をした後、丸々太り松田のような体形になりました。

ご主人がいなくて寂しくなったチワワは、山本さんの布団に入り込み、おなかの上で寝てしまったのでしょう。

「山本さん、松田君じゃなくて、犬が上に乗ったんじゃないの」

「ええー、あれはきっと松田さんよ。だって松田さんって遠くからいつも私を見つめているの。それで私を奪いたいのかなあと思ったのよ」

「それは、見つめているのじゃなくて、見守りしているのよ」と言いそうになるのを思いとどまった服部でした。