モンスターの果てに
黒木さんの娘さんは50歳代の専業主婦です。御主人はすでに亡くなり、今は認知症の母親と二人暮らしです。その母親はなぜか施設を転々としています。
黒木さんの母親がケアマネージャーの紹介で、服部の友人が施設長をしている特別養護老人ホーム(特養)に入所されました。入所後、施設長は黒木さん親子に翻弄されていました。
最近の特別養護老人ホームは、ユニット型といわれる少人数制の個室管理が中心となっていて、従来型の多床室は少なくなっています。ユニット型は個室ですので、介護する側には負担が大きく、介護スタッフの数も以前より多く雇わなければなりません。
一人当たりの床面積も広くなり、入所費用は住民税を払っている世帯には以前ほどのお得感はありません。そのため、以前のように行列を作って特養の入所を待つ事は少なくなっています。不便な場所に建てられている特養では、部屋が空いているところすらあります。
そのため特養の営業マンが、病院に利用者の入所を頼みに来る事もあります。この特養も部屋が空いていたため入所会議も簡単にすませ、すぐ黒木さんの母親の入所を決めてしまいました。
入所してから黒木さんの娘さんの態度は一変し、母親に熱や咳があれば、スタッフの食べさせ方が悪くて、誤嚥性肺炎を起こしたとか、手や足に内出血があれば転倒させた、部屋が汚い、お金をスタッフに取られた、体がしんどいと言っているのに受診させなかった、など毎日のようにクレームを言ってきます。
施設を転々としているのは、娘さんがモンスタークレーマーによるものか、と施設長はあらためて納得しました。