小児外科医として、体が震えるくらいすばらしい言葉を聞いたのはこれが初めてでした。

彼女の口からぽつぽつと話される夫への思いやりに心が洗われるように感じました。

そして最後にさらに、

「先生、わたし次の子必ずつくりたい……」

今お産が終わったばかりなのに、普通はその子のことや生活のことだけで頭がいっぱいになっているはずなのに……まいりました。

彼女はしっかり未来をも見つめていたのでした。

その後、この赤ちゃんは、しっかりもののお姉ちゃんとともに、すくすく育っていきました。そしてあれから二年たち、さらに小さな可愛い妹も生まれました。

宮本夫婦は新築のお家に伺い、生まれたての赤ちゃんを抱っこさせていただいたのですが、奥様はかいがいしく動いており、大きな茶色の瞳を間近に見ることは叶いませんでした。

もしも泪(なみだ)がこぼれるように、

こんな笑いがこぼれたら、

どんなに、どんなに、きれいでしょう。

金子みすゞ/「わらい」より

『こだまでしょうか、いいえ、誰でも。——金子みすゞ詩集百選』宮帯出版社、二〇一一年

(二〇二一年六月二十一日)

次回更新は2月8日(日)、8時の予定です。

 

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