「だから私が亜紀さんを殺したっていうのは誤解なんだって」

床に転がったままわなわなと震えて貴子が言った。

「そんなの知ってるわ。母が粉薬が苦手だったってこともね」

「じゃあ、何で……」

「母が死んで、代わりにあなたが来た。そのこと自体、あなたが母を殺したのと同じ罪よ!」

「そんな……」

貴子はひとみの眼の中に異様な光が輝いているのに気づき、獰猛な獣に狙われた小動物のように怯えた。

「だから私は父がもし亡くなったら、その後にあなたたち家族を全員抹殺して父の遺産を一円も渡さないって決めたの。

足立が密かに母を愛していたことを知っていたから、彼の復讐心を利用して殺害計画を立てた。この別荘の3つの部屋に窒素ガスを充填できるよう細工をしておいたのよ。あなたたちがここを訪れた時に窒息死させられるようにね。

父が予言通り急死してしまったのには驚いたわ。でもすぐにあなたたち三人を同時に抹殺するチャンスだと思い、足立に計画の実行を指示した。

ところが驚いたことに華怜が再び予言をした。そこでは直美と剛が死ぬとされていた。私は迷ったけれど、あなたの部屋の通気口のパイプは取り除くことにした。予言通りに殺害した方が、あなたをより一層苦悩と恐怖のどん底に追い詰められると思ったから。でもそれは失敗だった。

その後警察が来たらすぐに足立と私は捕まってしまう。そしたらもう二度とあなたに復讐できない。

シンデレラの話では何故か継母は罰を受けない。私にはそれが許せなかった。たとえ自分たちが逮捕されても最後のけりをつけると決めたのよ。

それでタイミングを見計らっていたら、予言であと8分だって言うじゃない。わくわくしたわ。これが賽子さんの言うとおり、父の予言だとしたら、私の計画は父によって完璧に保証されていたのよ! こんなに嬉しいことはなかった。

でも賽子さん、あなたのお陰で計画は御破算。あなたは私にとって本当に招かれざる客だったわ」

次回更新は2月12日(木)、21時の予定です。

 

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