【前回の記事を読む】傷ひとつない娘の遺体…部屋に閉じ込められ、生きたまま酸素を奪われた。外からドアを押さえ娘が息絶えるのを待っていた人間は…
サイコ2――死の予言者
「もし貴子さんが亜紀さんを殺したのであれば、その1年前に小佐々氏が予知能力で気づいたはずだ。だから貴子さんは殺していない」
「そんなこと信じられるか! 本当に予知能力があるというのなら、これも旦那様の予言だ。私は必ずおまえを殺す」
「足立、もういい」
その時、ひとみが口を開いた。
「お嬢様……」
「今、もう11時を回った。予言は外れた。運命は変えられてしまった。私たちの負けなの」
「私たち……まさか、ひとみさん、足立さんと共犯だったんですか?」
麻利衣が驚いて訊いた。
「そうよ。足立は私の指示通り動いただけ。全て私が計画したの」
「何ですって! この人殺し!」
貴子はやにわに立ち上がってひとみに掴みかかろうとした。それを見て足立がナイフを持ったまま突進したので背後の刑事が羽交い絞めにし、鍬下がナイフを奪い、床に押さえつけた。
「足立智司、殺人未遂で現行犯逮捕する」
鍬下は足立に手錠を掛けた。
「何で直美と剛を……二人を返して!」
貴子が泣き喚きながら両手で喪服の襟を掴んでひとみの体を強く揺すった。
「うるさい!」
ひとみが貴子を強く突き飛ばしたので彼女は再び床に尻餅をついた。
「あなたたちが私にやってきたことを忘れたの?
こちらが挨拶しても無視するくせに毎日のように嫌味や嫌がらせを言ってた。父が多忙で留守が多いのをいいことに、家事の全てを私一人に押しつけた。それがうまくできていないと厳しく叱責して、自分が作った料理も口にさせてもらえなかった。
テーブルで食事できるのは父がいるときだけ。それ以外私はテーブルに座らせてもらえず、自分の部屋で食事をとった。
父から誕生日にもらったプレゼントのバッグも直美が勝手に奪って、それに文句を言ったらハサミで切り裂かれてごみ箱に捨てられた。
あの二人が毎日のように新しい服を買ってもらっているのに、私は一年中同じ服を着ていた。私はまさにシンデレラだったのよ。
そして足立から、母があなたに毒殺されたと聞かされた時、私の中で何かが壊れた。私の心の奥底には怒りと憎しみの魔物が潜むようになった。
シンデレラの本当の結末を知ってる? シンデレラを虐めていた姉妹は鳩に目玉をつつかれて失明するのよ。それを知った時、私は大笑いしたわ。必ず私も真のハッピーエンドを迎えてやるって決めたの」