「そうだったんだ。お見舞いも行けず?」
「そうそう。最初は行こうと思ったんだけど、遥香のお母さんから来ないでほしいって言われてさ。理由はわからないけど。私も結局、受験勉強で忙しくなっちゃって、メッセージくらいでしか遥香とやり取りできてなかったんだ」
早川は素早くスマートフォンを操作するも、落胆した表情でそれをしまう。
「ダメだ。やっぱり遥香とのメッセージ残ってないな」
「どういうこと?」
早川は難しいことを考えるような顔をする。
「遥香、スマホを変えたのか、アカウントごと消えちゃったんだよね。だからメッセージのやり取りもできなくなっちゃって」
「そうなんだ。それっていつ頃?」
「うーんと・・・・・・。高三の冬くらいだったかな」
僕が知っているのは、遥香が入院をしたことまで。入院と妊娠は無関係のはずだ。妊娠したといっても、気づくのが早かったから、そんな大事には至っていないはずなのだ。遥香の妊娠が発覚してから、女性の身体と妊娠について熱心に調べたからわかる。
早川の話をまとめると、僕の転校と同じタイミングで入院をした遥香は、長いこと入院をし、スマートフォンも変え、親友であったはずの早川にもなにも告げずに突然姿を消した。いったいなぜだろう。そんなことをする子ではない。僕が一番よく知っている。
「卒業式にも参加しなかったの?」
僕が問うのに、早川は首を傾げる。
「卒業式にもいなかったよ? 野上くんも遥香のこと、見かけなかったでしょ?」
なるほど。早川は僕が転校したことを忘れているようだ。無理もない。僕と早川は遥香の存在だけで繋がっているようなもの。高校時代、ほとんど話したことはないのだから。
次回更新は2月17日(火)、11時の予定です。
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