本会から日本医師会に要望したのは以下の2点である。一つは感染予防のため万全の対策をしてほしいということ、もう一つは万が一感染した場合の補償をしっかり準備してほしいということである。
一つ目の対策は当然のこととして準備され、参加したJMAT隊員は乗船に先立ち大黒ふ頭でPPE装着の指導と感染症対策についてレクチャーを受けることとなった。
二つ目の要望には困難さが伴った。JMATの参加にはもともとJMAT保険というものが準備されていたが、これは事故に対する補償であって、疾病は含まれていなかった。コロナ感染で死亡する可能性もあり、感染によって診療を休まなくてはならなくなる場合もある。
開業医に参加してもらう場合はその休業手当も必要となる。これには石川常任理事が素早く対応してくれ、厚労省、保険業者と交渉してコロナ対応の新しいJMAT保険を創設してくれた。保険料は県医師会が仮支払いし、その全額が県を通して国から補填されるというものである。
業務は乗客の診察である。発熱等の症状がないかといったCOVID-19の問診の他に、持病の有無と現在の健康状態も含めた一般診療、服用薬剤の内容の確認、今後の船内滞在に耐えうる健康状態にあるかの判断、等々その役割は多岐にわたる。
気候は冬であったが、暖房のきいた船内でN95マスクを含めたPPEのフル装備での船内での活動はそれだけで重労働であったし、外国人乗客も多く、通訳を介しての診察は困難を極めた。
狭い船内に閉じ込められ、情報も不十分という環境下に留め置かれた患者さんのストレスも相当であり、いろいろな苦情も受けたとの報告もあるが、通常の診療を犠牲にしてボランティアでJMATに参加してここに来ていることを伝えると、感謝されることが多かったという。
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