【前回の記事を読む】「もう国内で広がっているかもしれない」渡航歴のない感染者が示した最初の兆候とは? 更に横浜港に寄港したクルーズ船から――
第1部 コロナ初期 未知のウイルスに対し我々は戦う武器もなく、防備の支度もない中で立ち上がった
Ⅱ 船内で起きた“災害”〈流行初期〉
ダイヤモンド・プリンセス号での集団発生
7日には273名すべてのPCR検査結果が判明し、61名がCOVID-19患者であったことが報告された。日本医師会の石川常任理事から地元の神奈川県医師会にダイヤモンド・プリンセス号への直接の協力依頼があったのは2月11日建国記念日であった。
この日はちょうど72周年の神奈川県医師会創立記念祝賀会が開催され、本会役員全員が参加しており、日本医師会の横倉義武会長他の役員の先生方も招待されていた。まず菊岡会長の指示のもと担当役員が集められ、日本医師会の石川常任理事から詳しい説明があり、横倉会長からも直接の要請が伝えられた。
菊岡会長が協力の意志を伝え、担当役員と日本医師会の石川常任理事とで対応策を検討し、理事会に諮ってその対応策を決定することとした。
翌2月12日には厚生労働大臣政務官であった自見はな子参議院議員も石川理事と同行して県医師会に来られ、厚労省からの直接の協力依頼があった。その後も石川常任理事が何回か県医師会に来訪され詳細が詰められていった。
PCR検査の検体採取は自衛隊から派遣された医官が対応してくれることとなり、医師会は乗客の診察と診断に集中できることとなった。
医師の他に看護師、事務員の3者がJMAT(後述)チームとして船室を回り、診療に携わることとした。2月12日までにすでに174名の感染者が判明しており、その数はさらに増加することが予想された。
短期間に1か所にコロナ患者が集中した場合、通常医療で対応することは困難である。災害時対応で行うしかないことが確認され、神奈川県庁に対策本部が立ち上げられ、これと連動する形で2月12日には神奈川県医師会に災害時医療救護本部が立ち上げられ、県と協力しつつその対応にあたることとなった。
すでに診断のついているコロナ患者の受け入れ先の病院選定と搬送業務を行うため、神奈川県DMATが県庁に招集され、活動を開始しており、県医師会も医師、看護師、事務員の派遣をJMATとして行う事としたのである。
県医師会、県下の郡市医師会に呼びかけて医師、事務職の参加を募った。看護協会への協力依頼を行い、看護師の参加募集を行った。