新入生の席は演壇正面で、右手には2年生、左手には3年生がすでに腰を下ろしていた。新入生が席に落ち着くまで、体育館はざわめいていたが、スピーカから開式の式次の案内が流れると同時に、体育館のざわめきは嘘のように静まった。
司会者の教頭による開式の挨拶から始まり、国歌斉唱、入学の許可、入学生代表宣誓、校長祝辞、校歌斉唱と続き、30分ほどで式は終了した。
やがて入学式が終わると、幸三たちは、上級生の案内に従って、先ほどまでいた教室に戻った。
ふと幸三は、同じく町の中学に進学した聡子の肌の色が小麦色であるのに対して、周囲の町の女の子たちの肌は透き通るように白く、血管すら眼に見える事に気づいた。
その肌の透明感が、胸の奥底にこれまで感じたことのない高揚感と戸惑いをもたらし心臓が早鐘を打ち始めた。やはり、何もかもが村とは違う……そう改めて思い知らされ、幸三は自分なりに納得した。
町の子どもたちの洋服は、どれも綺麗で垢抜けている。それに比べて自分の着ている服は、洗濯こそしてあるが、着古されていて、いかにも田舎者らしく思えてしまい、幸三は恥ずかしさで気持ちが萎えてしまった。さらに、友人のいない寂しさも重なり、心が折れそうであった。
しばらくすると、厚手の黒い型で装丁された名簿を手にした男性が教室に入ってきた。
その瞬間、教室内は、張り詰めた緊張に包まれ、音が消えた。年齢は24〜25歳前後の物腰が優しい男性で、ゆっくりと生徒たちに話し始めた。
「私が今日からみなさんの担任を務める大江学と言います。今年、3月に東京の大学を卒業したばかりの新米教師です。これから、みなさんと一緒によりよいクラス作りと勉強を頑張っていきたいと思います。仲良く楽しい教室にしていきましょう。
これから、みなさんの名前を、あいうえお順に読み上げますので、呼ばれた人は返事をして立ち上がって下さい。そして、これからクラスメートになるみなさんに元気な笑顔を見せてあげて下さいね」こう、短く挨拶を済ませると、時間がないのか、それとも手順に不慣れなのか、手早めに話し、生徒の出席をとり始めた。
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