中学入試の過去問題集(かこもんだいしゅう)を持ってきて、

「見てください。最近の地球温暖化(ちきゅうおんだんか)などの地球環境(ちきゅうかんきょう)の悪化(あっか)から、自然環境に対する認識(にんしき)を持ってもらうために、私たちの身の回りにある植物の問題が、難関国立や私立中の理科で出題されている。A中学でも、B中学でも、C中学でもこんなに出題されている。

なのに、特に受験勉強に明け暮れている受験生は、ここに出ているドクダミもハルジオンもカタバミも全く分かっていませんよ」

でも、受験生の保護者からの理解は得られなかった。

私塾(しじゅく)にとって、先生の身分保障(みぶんほしょう)よりも受験生の合格と塾の評判(ひょうばん)が何よりも優先事項だった。

経営者(けいえいしゃ)である塾長(じゅくちょう)から即(そく)、首(くび)を言い渡された。

次々に、次々に、別の塾講師(じゅくこうし)となったが、どこでも同じだった。清水先生は、仕方がないので受験(じゅけん)に関係のない地域(ちいき)の補習塾(ほしゅうじゅく)の講師となった。

補習塾は受験と関係がないので、算数・国語・社会・理科など何でも教えた。それでも、山野草の授業が圧倒的(あっとうてき)に多かった。

補習塾では、清水先生の指導はとてつもなく評判が良かった。

塾生である子供たちは、学校では、先生に質問することなどは、全くなかった。

清水先生の、優(やさ)しいお爺(じい)ちゃんのようなすべてを受け入れてくれる人柄(ひとがら)が気に入ったのか、正規(せいき)の授業時間が終わっても家に帰らないで、その時に浮(う)かんだことをあれこれと質問した。

清水先生は、いつでも丁寧(ていねい)に受け答えをした。

次回更新は2月11日(水)、11時の予定です。

 

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