「氷見ブランドには氷見うどんもあるよ。日本の三大うどん! カレシさんにプレゼントするなら、今回はそれでもいいんじゃないの?」
「日本の三大うどんってさ、香川県の讃岐(さぬき)うどん、秋田県の稲庭(いなにわ)うどん、群馬県の水沢(みずさわ)うどんのことでしょ。これって諸説あるみたいだけど、富山県の氷見うどんと長崎県の五島(ごとう)うどんを合わせて、日本の五大うどんってことでどうかしら?」
「えっ、お姉さんスゴ過ぎ! さすがは年の功ね」
「やめてよ、たった一つしか違わないでしょ! それよりさ、ずい分と立ち直りが早いのね」
「立ち直り……そんなことよりプレゼントが主役じゃないのよ。旅の目的を間違えないで!」
「はい、はい。わかっていますとも。かわいい妹分の恋バナを聞くプロジェクトですわよね」
お姉さんは、声色(こわいろ)を変えながら半笑い状態でこたえた。
「それでさ、いつにする?」
「予約するのは宿泊施設だけだから、お姉さんの都合がいい日を決めてほしいな」
「大型連休が終わればいつでも休めるよ。5月10日前後にしようか……」
「3週間後か……わかった。そうしましょう!」
「宿泊施設はイケちゃんに任せるわ。あまり豪華な部屋はいらないからね」
「うん。ほどほどのランクにする。他の予定も考えておきます」
再び会話が活発になり、いつもの調子に戻っている。
「はい、お願いします。ところでさ、3週間もあると、お互いに何か進展があるかも」
「それって男性関係の話?」
「そう、男性関係よ。一度くらいデートするかもね」
「お姉さんはさ、もう約束とかしてるの?」
「高山に来てくれたら案内するって言っちゃった!」
「へえ、ノリノリじゃないの」
「話の流れで言っただけよ。イケちゃんはどうなの?」
「デートしようって言われた。だから戸隠神社へ行きたいって言っちゃった!」
「なんだ、そっちだってノリノリじゃないの」
「じゃあ、旅の計画表ができたら連絡するね」
「はい、よろしく。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
通話が終わるとお姉さんは少しばかり驚きを感じている。自分は合コンで偶然の出会いがあった……そのタイミングで、まさかイケちゃんにも男性運が訪れたとは……今は自分のことで精一杯だけど、イケちゃんの出会いにも興味がある。イケちゃんに会える日まで、こっちも進展はあるのだろうか…… しばらくは彼からの連絡を待つことにしようと決めた。