【前回記事を読む】「婿養子も可能ですよ」――ストレートすぎる言葉に動揺しつつ、恋は意外な方向へ転がり始める

第2灯目 渚たちのファーストデート

合コンをした日の翌日、お姉さんはイケちゃんに近況報告のメールを送信した。

イケちゃん、元気にしてる?

昨日なんだけど、中学時代の親友から誘われてね、合コンに参加しました! 相手の男性たちが全員年下なんでびっくりしたけど、私に興味があるって人がいてね、なんとなく良い感じになっちゃったのよ。

イケちゃんの男性関係……何かあったら教えてほしいな。

少しだけ有頂天なお姉さんより

 仕事から帰ってきたイケちゃんはメールをチェック。お姉さんからのメールを見る。

『ふ〜ん。お姉さんに恋の予感か……私も報告しようかな』

近況報告をしようと思うが、何をどう説明すべきかと悩む。

高校時代に告ってきた男が、10年の時を経て、私を偶然見かけたことで感情がよみがえり、話がしたくなって同窓会を企画して、私の声を好きだと言ってくれた……文章にするのは難しいし恥ずかしい。

だからメールではなく会って話がしたいと思った。せっかく会うのなら、どこかで灯台めぐりをしたいと考えた。

お姉さん、お久しぶりです。私は元気よ。

合コンですか……年下のカレシが見つかったみたいですね。まだ早いかもしれませんが、とりあえず「おめでとう!」と言わせてください。奇遇(きぐう)だけど、私にもちょっとした事件があったの。

それは同窓会です。私を好きだと言ってくれる人と再会しました。

でも、メールでは書けません。良かったら、どこかで灯台めぐりをしながらの1泊旅行をしませんか? 候補はね、禄剛埼灯台と石廊埼灯台。それから、少し遠いけど美保関灯台。

こんな感じですが、どうかな?

お姉さん大好き!の妹分より

メールを送信してから数分後、お姉さんから電話がかかってきた。

「こんばんは。メール読んだよ。今話せる?」

「あ〜い。大丈夫だよ。ねえ、どんな人なの?」

「いきなり何よ。あなたこそ良かったじゃないの」

「良かったのかな……彼が私に告ったのって高校2年の時なのよ」

「付き合っていたんでしょ?」

「違うよ。断(ことわ)ったの。今回はその時のリベンジだって……」「あら、そうなの。それで、今回は何て返事したの?」

「だから会って話したいの。メールや電話じゃ無理! それよりさ、お姉さんのほうは?」

「私だって同じよ。まだ頭の中が整理しきれていないの」

「灯台めぐりの件はどう?」

「それは賛成よ。そうね、私も会って話がしたいわ。候補の中ではどこに行きたいの?」

お互いの声を聞いているうちに楽しくなり、マシンガントークのような会話になっている。イケちゃんの説明が始まると、お姉さんはイケちゃんの話し声に耳を傾け始める。