第2章 未来をつくるのは人の決算書
知識を得る3つの方法
気が遠くなるような話です。私も10年以上農業分野にかかわった 経験から、それがいかに大変な作業であるかを実感しています。しかし農業分野に限ったことではなく、得られた知識をもとに何かに挑戦して結果に至るまでに何年も要することは、ごく当たり前の話です。気長に取り組む覚悟が必要といえるでしょう。
次は知識です。私たちは体験を通して得られる知識に限りがあることを知り、それを書物で補おうとします。自分のペースで得られる手軽な方法ですし、最近は書物と同等な知識を新聞やテレビでも得られます。最近の若者は新聞を読まないといいます。彼らにとってインターネットが新聞の代わりを果たしているようです。
このように新聞、テレビ、ネット、フェイスブック、ツイッター、LINEなど情報の入手 チャネルは多様化していますが、本質的には書物から得られる知識と変わりはありません。
図1は2005年時点の流通量水準を100に指数化した上で産業別にデータ流通量の経年推移を示したものです。2005年を100とした場合、2012年で製造業は431、建設業は576、運輸業は632となります。不動産業に至っては1310と情報量は途方もない数字になります。全ての産業が情報産業に近づいているといっても過言ではありません。
数年前の日本では電車に乗れば大半が眠っていましたが、いまやほとんどの人が携帯電話に向かっています。片ときも情報から離れることができません。情報を見て考えているというより、情報を眺めているという様相です。
情報化はすさまじい勢いで拡散しています。昔はあるテーマについて調べようと思った際、そのための書物を探すことさえ大変な作業でした。図書館に足を運ぶか、書店に行って探すしかありませんでした。私の学生時代、卒論のテーマに関する書物の場合は、教授から出版社を紹介され、担当の方に相談に乗っていただき探し当てたものです。そのために費やした時間は相当なものでした。