【前回の記事を読む】息子の"脳死"の状態は病院の都合で作られたものなのか…? 彼女の「病院にいてはだめ」という言葉が胸に引っ掛かり…

第五章 再会

順子はまさ子を病院から連れ出し、駅前の喫茶店に誘った。

「とにかく、よく頑張った。まーちゃん、えらいわ」

テーブルにつくや否や、順子はまさ子の手を握って励ました。順子の手は温かい。

「連絡してくれたのも、すごくうれしかった。頼ってくれて。このタイミングで近くに引っ越したのも、きっとご縁よ。天の配剤だわ」

「ありがとう。順ちゃん。本当にありがとう」

まさ子は思わず涙ぐんだ。

「とにかく、美味しいものを食べよう。まずお世話する家族が元気じゃないと。まーちゃんは、甘いものが好きだったよね、フルーツパフェ? チョコパフェ? 私はチョコにする。まーちゃんは?」

順子の屈託のない笑顔を見ていると、まさ子は学生時代に戻ったような気持ちになった。風で帽子が吹き飛ばされたの、ベンチに本を置き忘れたの、電車に遅れそうになって必死で走ったら逆方向だったのと、些細なことで大騒ぎし、コロコロと笑っていた日々。

あんな楽しい日々はなかった。と同時に、透が今、そうしたたわいもない日常を経験することができないのが、なおさらかわいそうに思えてくるのだった。

パフェが運ばれてきた。順子はクリームをすくいながら、真顔で話し始めた。

「病院のことだけど」

「うん」

「私も現役から離れてかなり経つし、地元でもないから正確なことはいえないよ。でも、まああのくらいの規模の総合病院としては、普通じゃないかと思う。どこの病院も重点的に力を入れている診療科があるから、その科によって設備も建物も、古かったり新しかったり、差があることは仕方ないと思う。