そう言うと光の珠は元の大きさへ戻り美咲の前から消えて行った。

英良が周りを見渡すと背の低い草が生えていた。芝生というよりは整備されていない叢(くさむら)のようだった。見渡す限り草が生えている。しばらく歩くと白い狐が一匹英良の前に現れた。五メートルほど前にいて身体を斜め横向きに構えじっと見ている。

暫くして英良を誘うように少し小走りに前へ進んで行った。英良は狐に遅れないようについて行く。狐は捕まらないように逃げて行くようにも感じた。少し離れると狐は立ち止まり後ろを振り向いた。英良が遅れずに来ているか心配のようだ。

三十メートルほど離れるとこのような行動をとった。そんな狐は英良から見ると白く光っているように見えた。狐の周りの空気が水滴状になって狐の光を吸い込み滲んで見える。狐は英良にこちらへ来るように促して視界から消えそうになるといつも同じ仕草をした。しばらくこの状態で進んで行く。

道はだんだん狭くなっていき上り坂になって来た。気が付くと左側は崖になっている。どうやら岩の山を上へ登っている。最初に見かけた芝生や叢はもう見当たらない。緩い右カーブが続き少し開けたすり鉢状の場所に着いた。そこを抜けると石の階段が続いている。

それほど急勾配ではなく五十段ほどで上まで来ると社が建っている。正面には板の階段が十段ほどあり周りには欄干が付いていた。どこからか横笛と太鼓をたたく音が聞こえてくる。英良を歓迎しているような軽快な笛の音と太鼓の音だった。

 

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